熊本刑務所で作られた肥後象眼=熊本市渡鹿7丁目 長期受刑者を収容している熊本刑務所(熊本市)で、受刑者たちが地元の伝統工芸品「肥後象眼(ぞうがん)」づくりに取り組んでいる。刑務所側が職業訓練として始め、20年を超えた。男たちは熟練を要する伝統工芸の技術を磨きながら、出所の日に備える。 カンカンカンカン――作業場に甲高い音が響く。受刑者4人が縦に並び、黙々と小ぶりな金づちを振るっていた。鉄の表面にタガネをあて、極細の線を一面に刻む。「布目切り」と呼ばれる作業だ。先頭の男性は、長さ約20センチの文鎮に黙々と布目を刻んでいた。 この後、刻んだ布目に花や家紋などの型で金や銀を打ち込み、模様を浮かび上がらせる。残った布目を削って錆(さ)びさせ、黒く加工すれば完成。ネクタイピンやブローチ、ペンダントなどを、年間約400個生産している。 熊本刑務所には、主に懲役8年以上で犯罪傾向が進んだ受刑者が