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ブックマーク / book.asahi.com (1,216)

  • 野崎まどさんの読んできた本たち 母はひたすら漫画を読む人間だった。字の本も渡されたけど…|好書好日

    野﨑まど(のざき・まど) 2009年『[映] アムリタ』で、「メディアワークス文庫賞」の最初の受賞者となりデビュー。 2013年に刊行された『know』(早川書房)は第34回日SF大賞や、大学読書人大賞にノミネートされた。2017年テレビアニメーション『正解するカド』でシリーズ構成と脚を、また2019年公開の劇場アニメーション『HELLO WORLD』でも脚を務める。講談社タイガより刊行されている「バビロン」シリーズは、2019年よりアニメが放送された。他の著書に『タイタン』など。 >「作家の読書道」のバックナンバーは「WEBの雑誌」で 文字のを敬遠していた小学生時代 ――いちばん古い読書の記憶を教えてください。 野﨑:いちばん古いとなるとたぶんすごく小さい頃になりますが、字のの記憶があんまりなくて。漫画を読んだのが最初じゃないかと思うんですよね。自分で選んだものではなくてたま

    野崎まどさんの読んできた本たち 母はひたすら漫画を読む人間だった。字の本も渡されたけど…|好書好日
  • 小川公代さん「ケアの倫理とエンパワメント」インタビュー ケアで読み解く文学、そして女性の「檻からの解放」|好書好日

    小川公代(おがわ・きみよ) 1972年和歌山県生まれ。上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了。専門はロマン主義文学、および医学史。著書に『文学とアダプテーション――ヨーロッパの文化的変容』(共編著、春風社)、『ジェイン・オースティン研究の今』(共著、彩流社)、訳書に『エアスイミング』(シャーロット・ジョーンズ著、幻戯書房)『肥満男子の身体表象』(共訳、サンダー・L・ギルマン著、法政大学出版局)など。 女性がケアを背負い込まないために ――ケアをテーマにした経緯を教えてください。 日ではケアというと、家事、育児、介護などの「ケア労働」のイメージが定着していると思います。でも、たとえば介護福祉士や看護師といった職業の方は、実際に実践する中でさまざまな葛藤を抱えながら、ケアについて多面的に考えていらっしゃると思います。いろいろな人がケアを考えたり、

    小川公代さん「ケアの倫理とエンパワメント」インタビュー ケアで読み解く文学、そして女性の「檻からの解放」|好書好日
  • ミュージカルの解剖学――あるいはジェリクル・キャッツとつきあう方法(1)|じんぶん堂

    記事:春秋社 長屋晃一『ミュージカルの解剖学』(春秋社) 書籍情報はこちら ミュージカルを語ることは簡単でも、論じることは難しいと、つくづく思う。まばゆい光の洪水、めくるめくダンス、心を浮き立たせる歌と音楽、そんなものに目と耳を奪われるうちに、気づけばカーテンコールになっている。 そうやって、ブロードウェイやウェストエンドは人をとりこにしてきた。私自身、ブロードウェイで観た《メリー・ポピンズ》で、バートが煙突掃除夫の仲間たちをバンクス家の子供たちに紹介する〈ステップ・イン・タイム〉を見たとき、思いがけず感動した。感動したどころか涙すら浮かび、言いようのない高揚感に包まれていた。私はディズニーのファンでもなければ、ミュージカルの熱心なファンというわけでもないのに。 いったい私は何に感動したのか。その輝かしい興奮と高揚感はどこからくるのか。人をとりこにして、しかも、その正体を明かさない。愛くる

    ミュージカルの解剖学――あるいはジェリクル・キャッツとつきあう方法(1)|じんぶん堂
  • 我慢すべきか、ガツンと言うべきか……政治学的にはどう考える?『言いたいことが言えないひとの政治学』(岡田憲治著)|じんぶん堂

    記事:晶文社 岡田憲治『言いたいことが言えないひとの政治学』(晶文社) 書籍情報はこちら ふつうに生活しているだけで、私たちは他者との不和や衝突やトラブルに出くわしてしまいます。家でも職場でも地域社会でも、それから政治や国際社会でも、人間同士のハレーションはどうしたって避けられないものです。 そんなとき、自分が我慢すればいいことだと黙って耐える人は多いでしょう。周囲にさしさわりのない愚痴をこぼすことで気を紛らせながら暮らしているかもしれません。相手にガツンと言えたらスカッとするけど、後々のことを考えると言えない……そんな場面はいたるところにあります。我慢を溜め続けていたら、もうこれ以上は無理だというレベルになって、コップから水があふれるように爆発するというケースもあるでしょう。 でも、当に「言える」か「言えない」かの二つしか選択肢がないのでしょうか? 主張したり発言したりできないのなら、

    我慢すべきか、ガツンと言うべきか……政治学的にはどう考える?『言いたいことが言えないひとの政治学』(岡田憲治著)|じんぶん堂
  • 世界遺産、ノートルダム大聖堂 ICT技術で復活! 雑誌『ふらんす』(白水社)12月号より|じんぶん堂

    記事:白水社 東京・お台場の日科学未来館で「パリ・ノートルダム大聖堂展」が開催中です。雑誌『ふらんす』12月号(白水社)では「世界遺産、ノートルダム大聖堂」を特集しています(寄稿:三宅理一「よみがえるノートルダム大聖堂」、鹿島茂「ノートルダム大聖堂と原始の森」)。 書籍情報はこちら 【Réouverture de Notre-Dame de Paris : Pharrell Williams et ses 70 choristes chantent un medley inédit】 ノートルダム大聖堂はパリの中心シテ島に位置し、中世ゴシック建築の始まりを告げる繊細な装飾に溢れた姿をまとい、世界中の人々を惹きつけてきた歴史をもつ。火焔の中に崩れて落ちていくその衝撃的なシーンはSNS投稿を通してまたたくまに全世界に広がり、心を痛めた人間の数ははかりしれない。日でいえば同じ年の10月に沖縄

    世界遺産、ノートルダム大聖堂 ICT技術で復活! 雑誌『ふらんす』(白水社)12月号より|じんぶん堂
  • 本が生き残る場所は、けっきょく「遅さ」にしかない|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 会社の机に貼ってある、鳥好きの自分のために子どもが描いてくれたオオルリの絵と手紙。手紙にある「さんばぜ」は、千葉にある鳥見の有名スポット、ふなばし三番瀬海浜公園 書籍情報はこちら いろんなをつくってきた。 エッセイ、ノンフィクション、世相を批評する、科学者の文章を集めた随筆シリーズ、展覧会図録、音楽、鉄道の小説、写真集、絵、マンガ……。最近では詰将棋評論という未知の分野の(若島正さんの『詰将棋の誕生』)も担当した。 いまの会社に入って13年半、少なくとも150冊はつくったと思うけれど、その内訳を腑分けしてみると、いわゆる「人文書」はそんなにない。 それは、自分が人文学の研究からドロップアウトした人間だから、ということも関係あると思う。大学と大学院では、文化人類学の研究室に所属していた。研究者になるために大学院に進んだが、自分はひとつのことを突き詰める

    本が生き残る場所は、けっきょく「遅さ」にしかない|じんぶん堂
  • 人権を守るため闘ってきた韓国社会の歴史といま──『「ふつう」の私たちが、誰かの人権を奪うとき』|じんぶん堂

    記事:平凡社 日常で起こる差別や冤罪、性暴力、国家権力による拷問……韓国・国家人権委員会で働く調査官の著者のもとには、悔しさを抱えた人々の訴えが寄せられる。『「ふつう」の私たちが、誰かの人権を奪うとき──声なき声に耳を傾ける30の物語』は、現役の調査官が経験した実話を収録するノンフィクションだ。 書籍情報はこちら 書を理解するうえで、まず知っておきたいことは、「国家人権委員会」(以下、人権委)の存在だ。著者は人権委で長期にわたり、調査官として働いた。人権委は、韓国社会において人権を守る役割を担っている。国家人権委員会法によって設立され、その目的は「すべての個人が有する不可侵の基的人権を保護し、その水準を向上させ、人間としての尊厳と価値を実現し、民主的な基秩序の確立に役に立つこと」(第一条)としている。2001年に設立され、捜査や裁判などにおける人権侵害や軍での人権侵害などを調査し、解

    人権を守るため闘ってきた韓国社会の歴史といま──『「ふつう」の私たちが、誰かの人権を奪うとき』|じんぶん堂
  • 文学と鉄道の本当は幸せな関係〜「鉄道目線」で文学を見たら新しい地平が開けた|じんぶん堂

    記事:幻戯書房 『鉄路の行間 文学の中の鉄道』(幻戯書房 刊 装画は「始発ちゃん」) 書籍情報はこちら 日で初めて鉄道を専門とするフリーライターとなったのは、私の師匠であり、〝レイルウェイ・ライター〟を名乗った種村直樹だ。1973年に毎日新聞社の記者を辞め、フリーとなった。しかし、鉄道雑誌などはそれ以前から存在している。では、誰が書いていたのかと言えば、筆が立つ鉄道ファン、あるいは鉄道会社の社員などだ。 その中には、文学にも造詣が深い方々もいた。そして、文学と鉄道を結びつけた著作も少なからずあり、私も10代の頃から愛読したものだ。ただ不満もあった。なぜか「この作品のこの場面に鉄道が出てくる」だけを繰り返すパターンが目についた。もしくは、鉄道を一部の舞台とした小説のアンソロジーばかり。 もうちょっと鉄道が好きなら、そこに描かれている鉄道がいかなるものであるのか。例えば「蒸気機関車」「横須賀

    文学と鉄道の本当は幸せな関係〜「鉄道目線」で文学を見たら新しい地平が開けた|じんぶん堂
  • ケプラーとガリレイ|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 近代的自然観はいかに生まれたか。物理学/物理学史をめぐる論考を著者みずからが精選(全2巻) 書籍情報はこちら オーストリアはグラーツの数学教師、25歳のヨハネス・ケプラーが『宇宙の神秘』を上梓したのは、1596年のことであった。同書は、地球も含めて惑星が六つしかない理由を、五個しかない正多面体に内外接する六個の球に惑星軌道を割り当てることで説明したもので、ケプラーの特異な発想を示しているものとして知られている。ケプラー自身は、その正多面体理論こそおのれの最大の発見と自認していた。 しかし重要なことは、ケプラーが当然のように地球を惑星のひとつと見なしていること、つまりコペルニクス地動説を公然と認めていることにある。コペルニクスの書が出てから53年、コペルニクス擁護がまだほとんど見られない時点であった。 若きケプラーは有名な天体観測者ティコ・ブラーエや、パドヴァ大学数学教授ガリ

    ケプラーとガリレイ|じんぶん堂
  • 「悪文」には名著が多い? その理由とは ――『悪文の構造』解説より|じんぶん堂

    記事:筑摩書房 悪文を語るに外れなし 書籍情報はこちら 名文を目指すべきか、悪文を直すべきか もしあなたがスリムな体型を手に入れたい場合、『みるみる痩せる激やせ事法』と『太りにくい身体を作る事法』、どちらのを書店で手に取るだろうか。おそらく『みるみる痩せる激やせ事法』をまず手に取るのではないか。手っ取り早く痩せられる方法が書いてありそうだからである。 しかし、ダイエットにはリバウンドがつきものである。一年後の自身の体型を考えた場合、どちらのに従えば、目標を確実に達成できそうだろうか。冷静な頭で考えれば、『太りにくい身体を作る事法』に軍配が上がることに多くの人が気づくはずである。健康的に痩せたいならば、栄養のバランスを欠いた極端な生活に短期間手を染めるよりも、現在の生活の問題となる部分を一つひとつ丁寧に取り除き、じっくり時間をかけて徐々に痩せていくほうが、はるかに健康的だか

    「悪文」には名著が多い? その理由とは ――『悪文の構造』解説より|じんぶん堂
  • 「寺田寅彦『物理学序説』を読む」書評 現代に問う 色あせない世界観|好書好日

    寺田寅彦『物理学序説』を読む [著]細谷暁夫 寺田寅彦は独創性にあふれる稀有(けう)な物理学者にとどまらず、並外れた文学的才能を併せ持っていた。その達意の随筆を知らない日人はいないであろう。 彼が1920年から25年ごろに書いたとされるのが未完の『物理学序説』。その内容は題名から連想されるものとは違い、寅彦ならではの哲学的科学論である。 書は、物理学者である細谷氏による現代的視点からの解説、文学者の千葉俊二氏と細谷氏のメール対談、寅彦の『物理学序説』草稿、高弟の中谷宇吉郎による後書(あとがき)から成る。この重層構造が提供する相補的視点を通じて、寅彦独自の科学論の醍醐(だいご)味が満喫できる。 哲学と科学、自己と自己以外、数学との関係、実在、感覚、因果律、偶然などの章題を眺めるだけで、狭い意味での物理学的知識ではなく、その背後の世界観そのものを伝えようとした寅彦の意図が感じられる。 「科

    「寺田寅彦『物理学序説』を読む」書評 現代に問う 色あせない世界観|好書好日
  • 「学術書の価値を伝えていく」大学出版の使命 橋元博樹・大学出版部協会理事長に聞く|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 大学出版部協会理事長の橋元博樹さん 書籍情報はこちら 大学出版の三つの柱 ――日における大学出版の成り立ちについて教えてください。 橋元 日の大学出版の創設は19世紀末まで遡ります。現存する組織と繋がっていて一番古い大学出版は、1886年に創設された早稲田大学出版部です。当初の主な目的は講義録を通信教育の学生に向けて販売することでした。それから東京電機大学出版部が1907年、玉川大学出版部(前身のイデア書院)が1923年に創設されました。 ちなみに(慶應義塾創設者の)福澤諭吉が出版事業「福澤屋諭吉」を始めたのは1869年なので、それを大学出版のルーツだと言うこともできます。ただその後社名や組織が変わったりしていて、現存する慶應義塾大学出版会の創業は戦後でした。 ――海外ではどうだったのでしょうか。 橋元 アメリカの大学出版部も19世紀の同じ頃に創設されました。ア

    「学術書の価値を伝えていく」大学出版の使命 橋元博樹・大学出版部協会理事長に聞く|じんぶん堂
  • 恋愛ばかりが重要なのですか? 『源氏物語』から仕事とプライヴェートの問題を考える|じんぶん堂

    記事:春秋社 古典文学には、現代のセクシュアリティの問題を乗り越えるヒントがある 書籍情報はこちら 『源氏物語』の「作者」である紫式部を主人公にした2024年の大河ドラマ『光る君へ』は、ドラマティックな展開で、予想以上に評判が良いようですが、やはり予想したように、恋愛中心の物語が展開しています。『源氏物語』やそれにまつわるあれこれには、やはり恋愛の物語というイメージが強いようです。そのためかよく、『源氏物語』が専門だというと、結婚も見合いで恋愛の話が好きでない母親には「何で『源氏物語』を研究しようと思ったのか分からない」「何がいいのか分からない」と言われます。説明するのが面倒なので、ああそうだろうな、と思いながら何も言わないのですが、それだとちょっともったいないな、という気もします。 私は前に書いた新書(『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』新典社新書、2017年)で、『源氏物語』の登場人物の

    恋愛ばかりが重要なのですか? 『源氏物語』から仕事とプライヴェートの問題を考える|じんぶん堂
  • サイレント映画から運動会へ 《天国と地獄》受容を追っ駆ける|じんぶん堂

    記事:春秋社 柴田康太郎 著『映画館に鳴り響いた音 戦前東京の映画館と音文化の近代』(春秋社) 書籍情報はこちら 運動会の徒競走などで使われる定番曲に《天国と地獄》がある。「文明堂のカステラ」の音楽といえば、あの曲かと思い浮かべられる方も多いかもしれない。 この曲はもともと1858年にパリで初演されたジャック・オッフェンバック作曲のオペレッタ《地獄のオルフェウス》中の一曲だった。「天国と地獄」はこのオペレッタが1914年に帝国劇場で日初演されたときの邦題である。「地獄のオルフェウス」などという字面はおどろおどろしい気がするが、作品はいわばグルックのオペラ《オルフェオとエウリディーチェ》(1903年に日人が最初に上演したオペラとされる)のパロディで、《地獄のギャロップ》と呼ばれる件の楽曲も実は神々のドンチャン騒ぎの酒宴の音楽でもある。 そう考えると不思議である。19世紀フランスのオペレッ

    サイレント映画から運動会へ 《天国と地獄》受容を追っ駆ける|じんぶん堂
  • 富永京子さん『「ビックリハウス」と政治関心の戦後史』インタビュー 若者は、本当にしらけていたのか?|好書好日

    富永京子さん=北原千恵美撮影 富永京子(とみなが・きょうこ) 1986年生まれ。立命館大学産業社会学部准教授。専攻は社会学・社会運動論。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了後、日学術振興会特別研究員(PD)を経て、2015年より現職。著書に『社会運動のサブカルチャー化──G8サミット抗議行動の経験分析』(せりか書房)、『みんなの「わがまま」入門』(左右社)、論文に”Social reproduction and the limitations of protest camps: openness and exclusion of social movements in Japan”, Social Movement Studies 16(3)ほか。 当時の若者文化に多大な影響 「ビックリハウス」とは、1974年から85年まで発行された日の伝説的なサブカルチャー雑誌だ。ユ

    富永京子さん『「ビックリハウス」と政治関心の戦後史』インタビュー 若者は、本当にしらけていたのか?|好書好日
  • 中原中也の英訳、アメリカの研究者が挑む 「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」どう訳す?|好書好日

    アメリカの詩人で日文学研究者のジェフリー・アングルスさんが、中原中也(1907~37)の詩の英訳に取り組んでいる。「山羊(やぎ)の歌」「在りし日の歌」全編に未刊行作品からの抜粋を加えて、1、2年後の刊行を目指している。 アングルスさんは71年、米オハイオ州生まれ。高校時代に山口県下関市に3カ月留学した。その後、米国の大学で日近現代詩を研究し、萩原朔太郎「町」を皮切りに、モダニズム作家や詩人らの作品の翻訳を手掛けるようになった。2016年には日語による自作詩集「わたしの日付変更線」を発表し、読売文学賞を受賞するなど高い評価を受けている。 アングルスさんが中也に親しむようになったのは、詩人の伊藤比呂美さんに紹介されたことがきっかけ。「中也の作品からは、こんな読み方もあるのかという新しい発見が次々に出てくる。ことばの意味、音楽性、リズムにこだわって訳していくとどんどん楽しくなっていく」

    中原中也の英訳、アメリカの研究者が挑む 「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」どう訳す?|好書好日
  • 失われた「郷土」をもとめて 〜郷土史を探求するということ|じんぶん堂

    記事:朝倉書店 「地域」がどちらかというと客観的な概念であるのに対し、「郷土」は主観的であり、そこに当事者たちの複雑な“ 思い”(なつかしさ、郷愁)が付随している。極端に言えば、その土地に生まれ、その土地の小学校・中学校を卒業し、その土地で生計を営んでいる者たちのみが共有し得る強い“思い”が含まれている。 (『郷土史年表・資料集』阿部猛・夏目琢史編、朝倉書店「ⅱページ」より) 書籍情報はこちら 『郷土史年表・資料集』が生まれた背景 はじめに、書の成り立ちについてご紹介したい。書は「郷土史大系シリーズ」と関連して刊行された。同シリーズの内容を年表や地図に整理しつつ、相互に補完する形で活用することができる。また編者を同じくしており、シリーズの中心メンバーは、東京学芸大学・名誉教授であった阿部猛先生である。先生は2016年に逝去されたが、ご尽力いただいたその遺志を継ぎ、夏目琢史先生が書の序

    失われた「郷土」をもとめて 〜郷土史を探求するということ|じんぶん堂
  • 〈ルリユール叢書〉から世界文学の翻訳を考える——文学の仲介者ヴァレリー・ラルボーとともに|じんぶん堂

    記事:幻戯書房 『聖ヒエロニュムスの加護のもとに』の著者であるヴァレリー・ラルボーにとって、聖ヒエロニュムスは翻訳の守護聖人であった。ヴァレリー・ラルボーは作家であると同時に、翻訳者、批評家として文学の仲介者であり続けた。 書籍情報はこちら 紀伊國屋書店新宿店3階アカデミック・ラウンジの〈ルリユール叢書〉フェア。8月3日(土)の刊行50冊突破記念トークイベントの模様。 ルリユール叢書とヴァレリー・ラルボーの意外な接点 中村 ルリユール叢書は2019年6月の発刊から早5年、翻訳者の方々と読者の皆様のおかげで現在までに55冊を刊行するに至っています。50点突破記念ということで、既刊書の中から一点を取り上げるとしたらと考えたとき、真っ先に浮かんだのが『聖ヒエロニュムスの加護のもとに』〔以後『聖ヒエロニュムス〜』と略記〕を書いたヴァレリー・ラルボーでした。ラルボーは、20世紀フランスの作家・翻訳

    〈ルリユール叢書〉から世界文学の翻訳を考える——文学の仲介者ヴァレリー・ラルボーとともに|じんぶん堂
  • 「現場」とは、どこのことか?|じんぶん堂

    記事:じんぶん堂企画室 授業取材の際の持ち物は、ノートとカメラ、上履き、そのあと授業者へのインタビュー等があれば、ボイスレコーダー。両手が空いている必要があるのでリュックを背負う。 書籍情報はこちら 出版社と教育関係企業とのあいだで 「人文書の魅力を伝える」ことを目的とした「編集者によるリレーエッセイ」なる連載に文章を寄せるという貴重な機会に恵まれたものの、どうにもまごついている。 23歳から現在までおよそ10年半、東洋館出版社という教育書を専門に刊行する出版社の編集部で勤務してきた私に、そもそも自分が「編集者である」というアイデンティティーがあるかと訊かれれば、極めて怪しいからである。 専門出版社の編集者。イメージがつくだろうか。 「教育書」とは、主に教育現場に関連する職業に従事する人に向けてつくられた書籍のことであって、その中身は例えば教育学、教育課程、教育評価、教科教育、学校経営、学

    「現場」とは、どこのことか?|じんぶん堂
  • 太陽王と半裸の青い男 17世紀と21世紀の祝祭にて|じんぶん堂

    記事:春秋社 小穴晶子 著『ヴェルサイユの祝祭 太陽王のバレエとオペラ』(春秋社) 書籍情報はこちら 古来より「豪華絢爛な催し」というものは、権力者の力を示し、そして秩序を形成する上で不可欠であった。「ある秩序は、その秩序の成員全員がそこにいることに喜びを感じている時に確実なものとなる。そうなれば、だれもその秩序を壊そうとしない」(*1)。ゆえに、為政者たちはこぞって見るものの心を掴む演出を模索した。 フランスの絶対王政を築いたルイ14世のもと、1653年に開催された〈夜のバレエ〉。夕方6時からはじまるこの催しは3時間ずつ、4つの部分から成る。それぞれのセクションでは「時」や「遊戯」の概念を模した格好をした人間が登場し、踊る(ルイ14世人も踊った)。そして最後のセクション(深夜3時から朝6時にかけて)の、ちょうど陽が射す頃合いにあわせて、太陽神アポロンに扮したルイ14世が現れる。絶対的な

    太陽王と半裸の青い男 17世紀と21世紀の祝祭にて|じんぶん堂