四年制大学を今春卒業した学生の就職率が6割に落ち込み、就職も進学もしなかった人が約8万7千人にのぼることが明らかになった。若者から夢を奪い、社会全体の活力を失わせる看過できない事態である。 一昨年秋のリーマン・ショックを受け、企業が新卒採用を大幅に抑制したためだ。就職率の対前年比下落幅の7・6ポイントは過去最大で、就職戦線が一気に厳しくなったことを裏付けている。大学院などへの進学や留年した人も急増しており、やむを得ず就職をあきらめた人が多かったようだ。 若者が定職に就かないまま年を取ることは本人はもちろん、社会にとっても重大事である。将来の税収や社会保障にも大きな影響を及ぼすからだ。就職率低下を改善するため、大学と産業界、政府の3者は一体となり、中途採用の促進などを進めねばならない。人材の出入りを活発にすることは、喫緊の課題である。 そのためには、硬直化した採用制度の見直しが必要だ。産業界