江戸時代に描かれた浮世絵の中で人気の高かったジャンルのひとつに「寄せ絵」があります。人や物を集めて一つの形にした絵のことで、歌川国芳による「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」が代表的な作品といえるでしょう。 江戸時代、このような「寄せ絵」は数多く作られましたが、今回紹介するのは「寄せ絵」に似た趣向で作られた「身振いろは芸」という書物。 「身振いろは芸」は文政12年(1829年)に刊行された作品で、著者は「東西庵南北(とうざいあん なんぼく)」という江戸時代の戯作者。絵は浮世絵師「二代目 北尾重政(きたおしげまさ)」が担当しています。 「身振いろは芸」は、いろはにほへと…の文字を人間のカラダで表現するという、なんとも無理ゲー臭漂う芸ごとを紹介する作品で、平仮名を一人で表現したものもあれば、複数人で表現したもの、道具を使って表現したものなどさまざま。 絵を見ると確かに人のカラダで平仮名を表現し
