そのとき僕は唯一といっていい女友達と酒を飲んでいた。 最初は盛り上がっていたが会話はに内省的になっていき、声のトーンは徐々に落ちていった。 その静かな雰囲気の中、僕は童貞がコンプレックスなことを打ち明け、彼女は真摯に俺の話を聞いてくれた。 だが(酒の勢いも手伝って)セクロスを哀願した瞬間、部屋の空気が変わった。 「そんな風に童貞すてたとしても何のプライドにもならない」 「セックスできる力を持つのが重要で、セックスはその結果にすぎない」 というように説教をされたと思う。 僕としてはセックスすることによって不要な劣等感が消えて自信がでるんじゃないか、 と考えての発言だったのでこの認識の差異に驚いた。 戦場で兵士が恐怖をなくすためには訓練で自分を磨くよりも、 まずは一人の敵兵を殺す方が有効だとイラクで傭兵が言っていた。気がする。 僕にとってセックスは強くなるための手段だが、彼女にとってセックスは