ある種の鉄の化合物を酒に浸して温めると、電気抵抗が完全になくなる超電導となるのは、酒に含まれる有機酸などが、超電導になるのを妨げている余分な鉄を除去するからだとの研究結果を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)などのチームが16日、発表した。 同機構の高野義彦グループリーダーらは平成22年、超電導になる物質と構造が似ている鉄テルル系化合物が、70度に熱したワインやビール、日本酒など6種類の酒に24時間浸すと超電導を示すことを発見した。高野さんは原因が解明できたとして「新たな超電導体をつくるヒントになる」と話している。 チームによると、6種類の酒の成分を特殊な装置で分析すると、特に赤ワインに多く含まれるリンゴ酸やクエン酸といった有機酸が超電導を誘発することが分かった。