英中部の海岸沿いに「バロー・イン・ファーネス」という小さな港町がある。少し前、セラフィールドの核施設に行き、3年前の事故のその後を取材に行った際、そこを拠点にしていた。どうということはない田舎町なのだけれど、その昔、日露戦争の日本海海戦を戦った日本海軍の旗艦「三笠」が、この町で建造されたのだという。 恥ずかしながら、現地に行くまで、その話を知らなかった。夜、ホテルの主人(女性)が話してくれ、初めて知ったのである。 で、その後、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読み、明治時代の日本と世界を改めて知り、その大きな時代の流れを知り、しばらく、ボーっとしていたのである。「坂の上の雲」はもちろん小説ではあるけれど、日本が世界に出てゆく中で、「国家」と「1人1人の生き方」が、こんなにも重なり合った、誤解を恐れずに言えば、幸せな時代もあったんだな、と。日露戦争で亡くなった大勢の兵隊は、むろん、日本もロシアも単
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