日曜日の昼下がり、混雑したターミナル駅で電車に乗ろうと歩いている複数の女性を、突然腕の痛みが襲う。切られた腕から流れる血を見たときの驚き。犯人がどこにいるか分からない恐怖ははかりしれない。 大阪市北区のJR大阪駅構内で今年6月、女性2人をカミソリで切りつけるなどしたとして傷害と暴行の罪に問われた無職、大山和歌(かずか)被告(38)=神戸市西区。14日、大阪地裁で開かれた公判での被告人質問では、沈黙や「思いだせない」と投げやりな返答を繰り返し、検察官に「あなた自身のことですよ」ときちんと答えるよう何度も指摘された。 そんな大山被告が法廷で唯一はっきりと訴えたのは「子供に会いたい」。小学生の息子に会えないいらだちが事件の引き金の一つだったという。 ■ ■ ■ 大山被告は今年6月14日午後1時15分ごろ、大阪駅のホーム付近で女性2人の背中に縫い針を刺し、22日午後1時半ごろにも同駅のホーム