「ウイルス作成罪は,一体いつになったら成立するんでしょうね」。先日,本誌に連載中の「法律は助けてくれない」の筆者である岡村久道弁護士との間で,ウイルス作成罪が話題に上りました。日経コミュニケーション12月1日号で掲載した連載第5回で,ウイルス被害をテーマにしたからです。 ウイルスに関する処罰規定としては,現在でも,例えば刑法234条の2の「電子計算機損壊等業務妨害罪」があります。同罪は,業務で利用されるコンピュータに対してウイルスを送付して感染させ,異常な動作をさせるなどして業務を妨害した場合に適用されます。 これに対してウイルス作成罪は,感染被害を発生させるだけでなく,ウイルスを作成したり提供したりする行為に対して3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。さらに取得や保管するという行為にすら,2年以下の懲役または30万円以下の罰金という処罰が盛り込まれています。ウイルス作成罪