試合後のスタンフォード・ブリッジは、温かい拍手に包まれていた。 9月22日に行なわれたプレミアリーグ第6節、チェルシー対リバプール戦。フランク・ランパード監督率いるチェルシーはホームで1-2の敗戦を喫したが、サポーターは指揮官と選手たちに声援を送っていた。 エースの座に君臨している21歳のタミー・エイブラハム しかも、5日前に行なわれたバレンシアとのチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第1節も、0-1で敗戦。ホームで2連敗を喫したものの、スタンドからブーイングは聞こえてこなかった。 しかも、ここまでホームで公式戦4試合を戦い、2分2敗でいまだ勝利なし。リーグ6試合を終えて喫した計13失点は、プレミアリーグ開始以降のチェルシーでは最多の数字だ。 それでも、サポーターはランパード政権に温かい眼差しを向ける。「今季は我慢と辛抱の1年」と、ファンも相当な覚悟ができているのだろう。 チェルシ
そのためリヴァプールは決戦を前にスペインのマルベリャで合宿。そこでベンフィカBチームとの非公開の練習試合を行っている。 『A Bola』のインタビューでベンフィカBのレナト・パイヴァ監督が秘密の試合について明かした。 レナト・パイヴァ(ベンフィカBチーム監督) 「リーグ戦終了から3週間が経っていたリヴァプールは非公開試合をやる必要性を感じていた。 話は簡単だ。(対戦相手は)イングランドのチームではダメだ、情報がリークされる。 スペインのチームでもダメだ、(トッテナムのマウリシオ・)ポチェッティーノ監督は長年スペインにいたからね。 フランスのチームでもダメだ、(トッテナムGKウーゴ・)ロリスはフランス代表だから。 残ったのはポルトガルだった。ベンフィカの若手選手の質に大きな意味があった。 ユルゲン・クロップとペピン・リンデルス(リヴァプールのアシスタントコーチ)から言われたからね。 彼はベン
史上最高額でパリSGへ旅立ったネイマールの移籍金により、2017-18シーズンの売上高でクラブレコードを更新したバルセロナ。昨季はピッチ内でも2冠を達成しておりマネージメントの成果、と言いたいところだが、巧妙なカラクリによって隠された実態があった。 冬の移籍市場でのフレンキー・デ・ヨンクとケビン・プリンス・ボアテンク獲得は、ジョセップ・マリア・バルトメウ会長下の今のバルセロナを象徴しているように見える。1つはかつてのレアル・マドリーのように大型補強を魅力増に結び付けるやり方、もう1つはクラブカルチャーからの脱却である。 2017年夏にネイマールを強奪されたことで、何かのタガが外れた。巨額の移籍金を手にしたフロントはウスマン・デンベレ(1億2000万ユーロ)や翌冬のコウチーニョ(1億3500万ユーロ)などに史上最高額の3億6000万ユーロを費やす。昨年夏は比較的大人しかったが、今度は来季から
史上最高の観客数6万人超えとなるなど、国民の間でも注目度が急激に高まるスペイン女子サッカー。代表の強化も着々と進んでいるようだ。 今年6月7日に開幕する女子ワールドカップに向け、スペインの女子フットボール界がかつてない盛り上がりを見せている。 1月30日に行われたコパ・デ・ラ・レイナ(女王杯)準々決勝では、アスレティック・クルブの本拠地サン・マメスで、平日夜の開催ながら4万8121人の観衆を集めたことが話題となった。 これまでスペイン女子フットボール史上最多観客動員は、旧サン・マメスで2003年に記録した3万6000人だった。その記録を16年ぶりに大幅更新したのも束の間、3月17日には女子トップリーグのリーガ・イベルドローラ、アトレティコ・マドリー対バルセロナの首位決戦が6万739人を記録した。 また、4月にはバルセロナが女子チャンピオンズリーグの準決勝でバイエルンを破り、スペイン勢として
2016年夏の就任から3年弱、48歳のカタルーニャ人監督はイングランドサッカーに消えない刻印を残した。マンチェスター・シティで取り組み、実現してきた戦術的な革新の中で、最も重要な5つの事例に迫ったイタリアのWEBマガジン『ウルティモ・ウオモ』の考察記事(2019年2月22日公開)をお届けする。 就任1年目は無冠で終わり、様々な批判も浴びたものの、戦術的な観点から見れば、グアルディオラがプレミアリーグに与えたインパクトは最初から非常に大きいものだった。当初、彼のポジショナルなスタイルとは大きく異なるイングランドサッカーへの適応に困難を抱えたことは確かだ。しかし、現在のマンチェスター・シティのサッカー、そしてそれがピッチ上にもたらした結果を見れば、彼の試みがすべて成功したことは誰の目にも明らかだ。 グアルディオラのサッカーは、ブンデスリーガとプレミアリーグへの適応、そしてそれがもたらした影響に
ズドラフコ・レイチ●文 text by Zdravko Reic 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko アジアカップ決勝で日本が敗れた。勝敗が決まった時、私は少なからず憤慨していた。そして試合から日が経つにつれ、悲しさと、日本の戦い方を残念に思う気持ちが、私の心を覆うようになっていった。日本サッカーを愛する者なら当然だろう。 決勝のカードを知った時、私は日本が有利であると考えた。大勢の意見もそうであったろうし、もしかしたら選手たちも――意識はしないにせよ――そう思ったのではないだろうか? だが、こうした考えは非常に危険だ。相手がどんなチームであれ、軽んじてしまえば、自分たちの首を絞めることになる。それがサッカーの掟だ。ただ、日本人は真面目で、何事にも全力を尽くし、ベストな結果を出すために入念な用意をする。だからこうした心配は杞憂だと思っていた。 と
AFCアジアカップ2019が終わった。日本は決勝戦でカタールに完敗。なぜこれほどまで完璧にやられたのか。カタールはどのように日本対策をしたのか。(取材・文:植田路生【UAE】) 【動画】日本、未来の布陣はこれだ! 4年後の日本代表イレブンを予想 ●日本対策ができたのはわずか30分 まさにこれこそ完敗と言うべき内容だった。 日本代表はカタール代表の術中にはまり、AFCアジアカップ2019の優勝を逃した。後半は押し込む時間帯もあったものの崩しきれず、一方で前半はほぼ何もできなかった。日本はなぜ敗れたのか。時計の針を少し戻したい。 現地時間29日、カタールはUAEと準決勝を戦っていた。4-0と快勝し、日本が待つ決勝へと駒を進めた。30日、カタールは完全オフ。決勝戦は1日なので、カタールに残された準備期間は31日、その1日しかなかった。 現地時間31日、カタールは90分間練習した。ウォームアップ、
TACTICAL FRONTIER サッカー戦術の最前線は近年急激なスピードで進化している。インターネットの発達で国境を越えた情報にアクセスできるようになり、指導者のキャリア形成や目指すサッカースタイルに明らかな変化が生まれた。国籍・プロアマ問わず最先端の理論が共有されるボーダーレス化の先に待つのは、どんな未来なのか?すでに世界各国で起こり始めている“戦術革命”にフォーカスし、複雑化した現代サッカーの新しい楽しみ方を提案したい。 言語は思考を規定する――という言説は、非常に興味深い議論を生む。「サピア=ウォーフの仮説」と呼ばれるこの主張は、それぞれが使用する言語というものが人間の世界観形成に大きく関係するというものだ。簡単な例を挙げると、イヌイットは「雪」を表現するのに複数の単語を使い分ける。彼らは、その細分化された言語によって「雪」を非常に細かく分別して理解しているのだ。 実際、この仮説
今夏閉幕したリオ・オリンピック。そのアジア予選で、出場は叶わなかったものの、輝きを放ったチームがある。オリンピックアジア予選、カタール対イランを「最も成熟した試合」と語る理由とは。(*本記事は2016年3月3日に配信された。) まるで、ヨーロッパの育成年代の試合を見ているようだった。 バルセロナの様にラインを上げて、積極果敢にプレッシングを仕掛けるイラン。綺麗にゾーンを組んだ欧州的なブロックで待ち受け、そのまま高いラインの背後を狙うようなカウンターを狙うカタール。両チームの「10年後の理想形」が見えるような戦いは、育成年代の試合として理想的だっただけでなく、今回のアジア予選で最も成熟した試合だった。「オリンピックアジア予選でのベストゲームは?」と尋ねられれば、私は迷いなく「カタール対イラン」と答えるだろう。 勿論、素晴らしいプレーを見せてオリンピック出場を決めた日本代表や韓国代表、イラク代
慶應義塾大、東大大学院情報学環教育部出身。2000年頃に大学生だったころサッカー系のwebサイトを立ち上げたことがきっかけで大学卒業後コリーを立ち上げる。判官びいきでビッグクラブよりも中堅チーム以下のチームが戦術と工夫で頑張るところがツボ。くだらない記事からビジネス的な内容までを幅広く投稿。 アスパイア・アカデミーというものを聞いたことがあるだろうか。 2019年のアジアカップも残すところあと決勝のみとなったが、日本代表と対戦するカタール代表23名のうち8名がこのアスパイア・アカデミーの出身である。 アスパイア・アカデミーは2004年に設立され、今年でおよそ15年の歴史になる。ここでは、カタール代表の近年の成功を支えるこのアカデミーの秘密に迫ってみよう。 中東サッカーの問題点を解決する組織 欧州のような地域クラブもなければ、日本やアメリカのような学生スポーツが盛んな国でもないために、中東サ
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato アジアカップでのカタールの躍進は目覚ましい。 グルーリーグでは、レバノン、北朝鮮、サウジアラビアを相手に3連勝し、首位通過。ノックアウトステージに入ってからも、伏兵イラクを破り、W杯出場常連国の韓国を下し、アルベルト・ザッケローニ監督が率いる開催国UAEも一蹴し、日本との決勝戦に進んだ。 6試合で無失点。その強力な"盾"が、"矛"の強さも高めたのか、16ゴールで大会最多得点も誇っている。 カタールをアジア杯決勝に導いたフェリックス・サンチェス・バス監督 大会開幕前のカタールの評価は、「ダークホース」止まりだった。なぜ、カタールは快進撃を見せているのか? 特筆すべきは、カタールサッカー界の育成、強化に2006年から10年以上も関わってきたスペイン人監督の存在だろう。
順位 チーム名 勝点 勝 引 敗 1 Sanfrecce Hiroshima 65 18 11 4 2 Vissel Kobe 64 19 7 7 3 Machida Zelvia 59 17 8 8 4 Kashima Antlers 53 15 8 9 5 Gamba Osaka 53 14 11 8 6 FC Tokyo 48 13 9 11 7 Cerezo Osaka 48 12 12 9 8 Tokyo Verdy 48 12 12 9 9 Nagoya Grampus Eight 46 14 4 15 10 Kawasaki Frontale 43 11 10 11 11 Avispa Fukuoka 43 10 13 10 12 Yokohama F.Marinos 41 12 5 15 13 Urawa Red Diamonds 39 10 9 12 14 Albirex
アジアカップ決勝を翌日に控えた31日、試合会場のザイードスポーツシティ・スタジアムで行われた公式会見で日本代表キャプテンのDF吉田麻也(サウサンプトン)が報道陣から拍手喝采を浴びる場面があった。 森保一監督とともに公式会見に出席した吉田は会見の最後に中東メディアから質問を受けた。日本が決勝で対戦するカタールは準決勝で開催国のUAEを4-0で下したが、国交断絶中の両国の試合は異様な雰囲気の中で行われた。試合前の国歌斉唱ではカタール国歌に対してブーイングが浴びせられ、カタールが得点するたびにスタンドからは数多くのペットボトルやサンダルが投げ込まれた。 決勝に勝ち上がったのはカタールだったが、国交がないため一般のカタール人はUAEに入国できない。地元のUAEのファンは日本がカタールに勝つことを期待し、決勝のスタジアムは日本のホームに近い雰囲気になることも予想される。 こうした状況を踏まえ、決勝で
日本にとって厳しい戦いとなったサウジアラビア戦、終了直後にグラーツの自宅に電話をかけると、聞こえてきたのはアシマ夫人の弾んだ声だった。こちらが何かを言う間もなく、「イバンに代わります」といって、夫人がオシムに受話器を手渡した。 オシムの声も弾んでいた。もちろん筆者の声も。ただ、その明るさには、シビアな試合を冷静に戦い抜いて結果を得たことへの安堵と晴れがましさだけではなく、日本が直面したリアルな現実への懸念も少し混じっていたように思う。 語るべき点が多かったサウジ戦をオシムは高く評価した。厳しい戦いの中に、彼はいったい何を見たのか。 「後方で愚かなプレーがなかったのは二歩前進」 ――元気ですか? 「ああ、君はどうだ(笑)?」 ――まあ元気ですけど……。 「けど、はないだろう。試合に勝ったのだから(笑)」 ――そうなんですが、厳しい試合でした。 「簡単ではなかった。サッカーは世界的に均一化に向
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