日本公共政策学会年報1998 松下「日本における公共政策の研究」 基調講演 [目次へ] 日本における公共政策の研究 松下圭一 1 政策開発・政策研究の背景 1980年代以降、ことに地球規模での冷戦の終り、日本における保守・革新から官治・自 治への政治軸の転換によって、ひろく、政策開発・政策研究の重要性、緊急性が理解され るようになってきました。すでに数十をかぞえる政策・計画にかんする専門学会がありま す。また政策専門の学科、学部、大学院も新設され、今後急増すると思われます。既成学 部でも政策にかんする講座がふえてきました。他方、政策づくりを専門とする、あるいは 商品化する研究所やシンクタンクもこれに加わっています。 日本も、後発国特有の輸入理論信仰段階が終わって、「実務」としての政策開発・政策 研究にとりくみ、社会科学全域を再編する時代にはいってきたといえます。日本