筆者は時折あるFinTechベンチャーの創業社長らと会う。取材というよりも、互いの関心事を聞くという情報収集が目的だ。先日会った際に、その創業社長が身を乗り出して興味を示したのは、2015年に改正された個人情報保護法だった。現在、改正法に基づく詳細ルールが検討されている。 このFinTechベンチャーは大手ITベンダーや金融機関との業務提携を次々と発表しているやり手だ。次の一手も考えているという。例えば、顧客から集めたデータを金融機関の持つデータとひも付けて、金融機関が市場変化や顧客の好みに応じた商品を販売できるようにしたいというものだ。もちろん、データは誰の情報なのかは一切分からないようにする。住所や氏名といった情報は不要だという。 ITによる新たな金融サービスであるFinTechの利益の源泉は、突き詰めれば個人が金融取引で生み出すデータにある。つまり、ITでうまく個人情報を扱うことがで
