クァク・ジョンナン 2002年ベニス国際映画祭で監督賞を受賞したイ・チャンドン監督『オアシス』の興業が成功して以来、韓国では障害者を主人公にした大衆映画が増えている。『オアシス』は重度脳性マヒをもつ障害女性の生活と非障害者の偏見をリアルに再現することで社会の注目をひいた。 『オアシス』は主人公コンジュの隣りに住む夫婦が真昼間にコンジュの家で性関係をもち、「あの子がみても、かまわない」と発言するシーンなど、重度障害女性に対する韓国社会の認識の一側面を衝撃的に表現した。しかし、障害者の間(とくに障害女性)では、重度障害女性であるコンジュが自分をレイプした人物(チョンドゥ)を愛するようになるという設定は「レイプ神話」を再現しており、チョンドゥと愛を交わす途中でチョンドゥが強姦犯で捕まり拘束されるにもかかわらず、最後までチョンドゥを弁護できずに終わるなど、障害女性を無気力な存在として描写していると