前回まで,録画予約/動画共有サービスというITビジネスにおいて著作権の間接侵害が問題となった事案を取り上げて,その争点を網羅的に解説してきました。私が紹介した裁判例の多くでは,IT企業の行為を違法と評価しており,適法にビジネスを展開することが困難な状況にあります。 そこで今回は,IT企業がコンテンツの権利者から許諾を得ていないことを前提に,どうすれば適法にビジネスを展開できるのかを検討してみようと思います。私が思いつく限り,著作権の間接侵害が問題となり得るITビジネスを適法に実施するための方法には,以下の5つがあります。これらを順番に検討してみます。 「管理・支配の要件」及び「営利目的の要件」を備えないようにシステムを構成するIT企業が管理支配しているシステムにおいては,「複製」「送信可能化」等に該当しない技術やシステム構成を採用する第三者の権利を侵害する著作物が「複製」等された場合は,こ