「とうたすかかか」 この言葉は、人工透析を中止した女性が夫に送ったメールだ。「とう(父)、たすけて」と打とうとして「たすかかか」となったらしい。メールが打たれたのは2018年8月16日午前7時50分。この約9時間後、女性は死亡している。 死亡した44歳の女性・Aさんは5年ほど前から人工透析をしていたという。が、死の数日前、福生病院の医者から「透析をやめる選択肢もある」ことを告げられる。女性は透析をやめたものの、亡くなる2日前、苦しくなって入院。「こんなに苦しいなら透析した方がいい、撤回する」と意思表示をしたが、それが聞き入れられることなく死亡した。 19年3月、このことが報道されて以来、ずっと気になっていた。日が経つにつれ、福生病院の透析中止にまつわる報道は増えていった。彼女のように透析を中止して亡くなった患者が他にもいること、また、最初から透析をしない「非導入」で亡くなった患者が20人い
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