税制は専門的で難しいと思われていますが、じつはけっこういい加減です。例えば基礎控除。これまでずっと38万円で、他に控除がない場合、この金額を超える収入に納税義務が生じます。日本では、年収38万円で「健康で文化的な生活」ができるようです。 財務省は、基礎控除にさまざまな控除を加えて国際比較の矛盾をとりつくろってきましたが、いよいよつじつまが合わなくなってきたのか、今年の税制改正で25年ぶりに10万円引き上げられ48万円になりました。「だからなに?」と思うかもしれませんが、これは税の世界では大事件なのです。 基礎控除を引き上げると税収が減ってしまうので、どこかで帳尻を合わせなくてはなりません。そこで年収850万円以上の会社員の給与所得控除が引き下げられたのですが、しかしなぜ、増税になるのが高所得の「会社員」だけで、給与所得控除のない高所得の自営業者は対象外なのでしょうか。これでは「取りやすいと
