電子書籍端末――誰にでも与えられるものとして 本という優れたビークル 書物の内容(コンテンツ)を格納するうえで本は優れたビークルだという。ビークルとは英語でいうvehicleのことで乗り物という意味だ。紙を束ねて綴じた本がこの場合中味を伝播させる最適な乗り物だということである。かつては、こんな言い方をとりわけすることもなかったと思う。本は本であり、長い間その姿を本質的に変化させることはなかったのだから、それが何であるかと疑問を差し挟む余地もなかったのだといえるだろう。 電子的な出版という技術的な方法が提示され、ネットワークという流通の基盤を伴うことによって、徐々にではあるがコンテンツを電子的なデバイス(装置)で読むスタイルが浸透してきた。正確にいい直すなら、インターネットはコンピュータで情報を摂取する生活スタイルを定着させ、膨大な文字情報の閲覧を促進させた。そして、パーソナルコンピュータ
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