米欧中の研究開発競争が激しい「マテリアルズ・インフォマティクス(材料情報科学、MI)」。材料の物性値を集めたデータベースを使い、計算機で膨大な組み合わせを計算して新しい材料を探る試みだ。主に無機材料を対象とし、日本では自動車メーカーや材料メーカーなどに加えて、IT企業が取り組み始めた(関連記事)。 日本で材料情報科学にいち早く取り組み、相次いで成果を発表してきたトップ研究者と言えるのが、京都大学教授の田中功氏である。熾烈な競争に身を置く中、日本に対する強い危機感を語った。 現状が、とても歯がゆい。今や米グーグル(Google)が材料情報科学に興味を持ち、欧州や米国の研究機関と手掛けている。日本メーカーには、いまだに「計算機で材料発見なんて流行っているけれど、役に立たない」という人が多くいます。 このままでは、日本の敗色は濃厚です。ただ、詰んだわけではありません。材料技術では世界のトップメー