「狂犬病」という病名を聞いたことがあるだろう。イヌを飼っている人ならば、飼いイヌへのワクチン接種を経験しているはずだ。その名称からも、イヌ特有の病気と誤解されがちである。しかし狂犬病は人畜共通感染症であり、ヒトもかかる病気である。 5月9日、フィリピンを旅行中に子イヌに指をかまれた24歳のノルウェー人女性が、帰国後に狂犬病を発症して亡くなったと報じられた。ノルウェーでの狂犬病による死者は200年ぶりのこと。しかし、実は毎年世界では約6万人が命を落とすほど深刻な病気なのである。 発症したらほぼ確実に死に至る「狂犬病」 犬以外の動物にも感染する。過去の報告では狂犬病ウイルスは、イヌ以外でもネコ、ウサギ、リス、キツネ、アライグマ、コウモリ、マングースなど数多くの哺乳類で保有が確認されている。 どんな症状か。例えばイヌが狂犬病ウイルスに感染すると、徐々に興奮状態になってうろうろ歩き回ったり、目に入