4. コミュニケーションの言語哲学(II)――「関連性理論」―― フランス生まれのダン・スペルベル(Dan SPERBER 1942-)は、パリ大、次いでオックスフォードで文化人類学を学んだ人類学者で、ディアドリ・ウィルソン(Deirdre WILSON 1941-)は、オックスフォードで哲学を、MIT(マサチューセッツ工科大学)で言語学を学び、現在はロンドン大学で教える言語学者です。彼らは、コミュニケーションにとって重要なのはグライスの「関連の原則」(maxim of relevance)であると考え、そこから「関連性理論」(Relevance Theory)(21)を作り上げました。 1986年に初版が刊行されるや、たちまち話題を呼ぶに到った二人のコラボレーション『関連性理論』で提案された考えは、チョムスキーの統辞論のように、賛否両論の嵐を巻き起こしつつ現在も発展を続けており、著者たち