このまえ買い物に行ったら、下りのエスカレーターの前にどこかのババアが立ち尽くしてるわけ。右手で、動いている手すりのベルトに少しだけ触れながら、プルプル震えてるのよ。 俺はババアの左を通って、エスカレーターに乗ってさっさと下に下りていこうとしたんだけど、ふと振り返ると、ババアは俺を見て寂しそうに笑ってるんだよ。助けてって目が言ってた。それでようやく鈍感な俺もババアが下りのエスカレーターに乗れなくて困っていた事がわかったわけ。 知るかよ。 そんな目で見られたって、俺はお前の孫じゃない。急いではいないけど、俺はもう下りのエスカレーターに乗って下ってるんだぞ。 そんな目で見てもシラネエヨ。 気づいたら、下りのエスカレーターを逆走して駆け上がってた。 なかなか上までたどり着けずに、最近運動不足かもしれないという事を考えながらババアのところまで走ってた。 「降りれられないのか?」 俺の問いかけにうなづ