同じ獲物を追う竜虎の関係が、いつの間にか互いを殺し合うハブとマングースの関係に変質したというべきか。国内の麻薬取り締まりの両雄の一端をもって自任する厚労省関東信越厚生局麻薬取締部、通称「マトリ」の麻薬取締官・奥村憲博容疑者(46)が12月8日、もう一方の雄、警視庁組織犯罪対策五課に虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕された。「優秀な男だったが……」とマトリも寝耳に水の逮捕劇だった。 「奥村容疑者には、事情聴取をした男(50)の供述調書の内容を勝手に変えて裁判所に提出し、捜査対象の別の人物の携帯電話履歴を無理やり取得した疑いがあります。この事件のミソは、調書を偽造された男が奥村容疑者の捜査協力者である一方で、警視庁組対五課が9月に覚醒剤約378グラムの所持で逮捕した容疑者でもあった、という点です」(全国紙社会部記者) マトリは全国に8カ所、約300人が在籍する厚労省所管の麻薬取り締まりの専門