近代のほとんどの時期において、日本と西洋の間の「言葉の貿易収支」は極めて不均衡だった。新しい語彙(ごい)とともに西洋の知識を取り入れることは日本の近代化の一部であり、19世紀後半以降、西洋の言語に由来するおびただしい数の外来語が日本語の中で重要な位置を占めてきた。その数の多さと広がりに比べたら、西洋に入ってきた日本語の数などたかが知れている。 それでも西洋にはない事物だという異国情緒から、キモノ、ゲイシャ、サムライ、ショーグンといった言葉は、日本の文物に関する西洋人による記述を通じて、明治維新のはるか以前からヨーロッパで知られていた。また多くの国々が日本の文化を「輸入」してもきた。例えば俳句は、ロシア語、タガログ語、チェコ語など、さまざまな言語に取り入れられ、詩歌の一形式として受け入れられている。最近で言うならタマゴッチ(日本での商品名「たまごっち」のまま世界中に広がったゲーム機)や、ウォ