主力の液晶向けをはじめ建築や自動車ガラスなど幅広い分野を手がける旭硝子は、東日本大震災の影響を受けながらも好調さを維持している。スマートフォンやタブレットPCの普及に対応した新製品も登場した。しかし、その経営基盤はいささかいびつで、将来的には不安も漂う。総合力を武器に新たな成長戦略を築くことができるのか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳) 「このガラスでもまだ強さが足りないのか──」 旭硝子の池崎孝裕・DFGプロジェクトリーダーは思わず唸った。同社が提案した新型カバーガラスに対して、取引先のモバイル端末メーカーは想像以上の厳しい要求を浴びせてきたからだ。 近年、世界中で爆発的に普及が進むスマートフォンやタブレットPC。それらに欠かすことができないタッチパネルの市場規模は、今後10年間で現在の2倍に当たる2兆円近くまで拡大すると予想されている(右図参照)。 タッチパネルは衝撃や擦れに弱