【ソウル=加藤達也】北朝鮮咸鏡(ハムギョン)北道の会寧(フェリョン)市で先月中旬、朝鮮中央放送のテレビ信号受信設備が、何者かに取り外され持ち去られていたことが29日、分かった。朝鮮中央放送はテレビとラジオの国営局で、金正日総書記、正恩氏らの動静などを大々的に伝える“プロパガンダ機関”だけに、北朝鮮当局は、放送を遮断し国家秩序の維持を妨げようとする反逆事件として、検閲(調査)に乗り出したという。 中朝国境の事情に詳しい人権活動団体の関係者によると、会寧市の遊仙(ユソン)駅近くにあるテレビ信号受信の中継基地で、設備の基幹部分である受信装置がそっくりなくなっていた。 韓国の治安当局者は「受信中継基地は、平壌や清津など数カ所にある放送局から、電波やケーブルで送られる放送信号を受信して増幅し、電波や有線で転送する施設。受信装置がなくなると、基地の担当地域一帯には放送が一切、できなくなる」と指摘する。