博覧強記の料理人、美味の迷宮を東奔西走す! 日本の「おいしさ」の地域差に迫る短期集中連載。 前回からのから揚げ編、大変気になる展開の続きです。 稲田家を襲った「から揚げの悲劇」とは。 から揚げ編② おかずとしてのから揚げ、つまみとしてのから揚げ 山奥の温泉に併設の(いかにもパッとしない)お食事処で、稲田家の期待と不安を一身に背負ったから揚げ定食が、ついにテーブルに運ばれてきました。正直なところ僕は、不安の方が的中してしまったのではないかと思いました。なぜならそれはとりあえず見た目が異様だったからです。 そのゴツゴツしたから揚げは、真っ黒でした。揚げすぎで焦がしたのではないかとも思いましたが、お客さんは我々しかおらず、忙しさゆえに注意力が散漫になったとも思えません。から揚げは一人前3個でしたが、その大きさだけは充分なものでした。と言うか、見たことのないほどのサイズで、そこだけ見れば頼もしいと