中国最後の王朝である清の時代、『古今図書集成』という巨大な百科事典が制作されました。図がたくさん入っていてながめているだけでも楽しい本ですが、時代が時代だけあって、微妙に中途半端にヨーロッパからの知識が紛れ込んだりしています。それは動物についても同じ……ウマやイヌ、ヤギのように共通する動物は中国の文献が参考にされていますが、そんななかに、なぜかユニコーンやサラマンダー、スゥー(!)まで入っていたりして、大航海時代以降の伝説俗話伝統がいかに世界規模になったかがうかがえます。その説明書きを見てみると、たとえばプリニウスとほぼ同じものが書かれていたりすることもあれば、ヨーロッパのものとされながら出所不明な動物も入っていたりする。 そのうちからいくつか紹介してみようと思います。 この図はどこかで……コンラート・ゲスナーの『動物誌』とほぼ同じ! やや毛深く、いかにも中国風の樹木や岩石が背景に書かれて
朝鮮王朝代16代の国王・仁祖以後、11人の君主(追尊された君主を含む)に対し清から贈られた諡号(諸王や宰相の死後、功徳を褒め称えて付ける名)が、全て判明した。この諡号は、治世中の公式記録から徹底して取り除かれていた。 この事実は、国史編纂委員会・李迎春研究官の論文「金指南の通文館志と中国との関係」にて明らかにされた。この論文は、14日にソウル歴史博物館講堂で開催された学術発表会「朝鮮後期外交史の検討」(歴史実学会=ユン・ソクヒョ会長=主催)で発表された。 『通文館志』は、訳官だった金指南・金慶門父子により1708年に編纂、1720年に刊行された外交資料集だ。刊行後19世紀までに17度に渡って増補・増修され、清・日本との外交関係の格式と沿革、略史を記録している。今までこの史料に対しては、主として版本のような書誌学的な研究がなされたのみであり、内容が詳細に分析されたことはなかった。 今回
○中野美代子『乾隆帝:その政治の図像学』(文春新書) 文藝春秋社 2007.4 あっ、中野美代子センセイの新刊! しかも乾隆(チェンロン)皇帝だ~!!と、本書を見つけたときは、二重三重に心が躍った。中国人は乾隆帝が大好きだ。共産党の公式イデオロギーは、過去の皇帝を「人民の敵」とみなしてきたが、最近は、小説でもドラマでも「乾隆」の名を冠したものが大流行だという。私も、そうした娯楽作品の影響を受けて、乾隆帝のファンになってしまった。 しかし、このひと、なかなか一筋縄ではいかない皇帝である。狩猟遊牧民族である満州族のアイディンティティを保ちつつ、漢字・儒教文化圏の粋を体現し、チベット仏教を尊崇し、宣教師たちを使役して西洋式の庭園を構築する。それなりに侵略戦争は繰り返したけれど、苛烈な征服者のイメージはない。しかし、彼の残した「図像」の数々を読み解いていくと、独特の世界観に基づく帝王学、底知れぬ支
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く