ここまで「アイヌ」という言葉をずいぶん蕪雑に使ってきた。しかし「アイヌ」とは何か、という問題が閑却に付されてはいけない。 同級生「知里君、北海道ならアイヌを見たかい」 知里真志保「アイヌが見たかったら、このおれがアイヌだよ」 知里「なんで遠い北海道まできたの?」 少年「アイヌが見たかったから」 知里「ナニィッ、アイヌがみたくって!そんならここに立っているこの俺をよくみろ。それで十分だろッ」 この同級生は後に運輸事務次官を経て新東京国際空港公団総裁に就任する。エリートであったこの同級生にとって、第一高等学校の同級生にアイヌがいるとは夢にも思わなかったであろう。また少年にとってはまさか目の前の北海道大学教授がアイヌだとは思いもしなかったことだろう。おそらく彼らの頭の中にはアイヌに関する固定観念が存在していたのであろう。それは彼らだけではなく、今の我々にも存在している。アイヌを「原日本人」ととら
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