はるか彼方の世界を冒険する醍醐味は、何と言っても未知との遭遇である。であればこそ、1778年にハワイを「発見」したときのキャプテン・クックが困惑したとしても無理はない。イギリスの海洋探検家キャプテン・クックが太平洋の探検を行うのはそれが3度目であった。緑豊かなニュージーランドから不毛な土地が広がるイースター諸島まで、広大な太平洋に浮かぶ幾多の島々を巡ってきた彼は、その3度目の探検でソシエテ諸島から北へ数千キロも離れたハワイ諸島へと向かった。 そこは、タヒチで長年暮らしてきたポリネシア人の古老たちでさえ何一つ知らない場所であった。クックがハワイにたどり着くと、カヌーを漕いで近付いてきた島民が彼にあいさつをした。クックは耳を疑った。彼にとってそれは聞き慣れた言葉だったからだ。彼はそれまでに小さな島々をいくつも訪れていたが、そのほぼすべての島で住人たちがこれと同じ言葉を話していた。クックは、太