2009年11月08日18:00 カテゴリ円堂都司昭 円堂都司昭「あれから逃げ切れたかな、ぼくたちは」 担当者より:円堂都司昭さんは音楽やミステリの評論などで活躍されている書き手です。著書に『YMOコンプレックス』(平凡社)や、第62回日本推理作家協会賞と第9回本格ミステリ大賞を受賞した『「謎」の解像度』(光文社)があります。この原稿は、逃走と若者というテーマを論じていただいたものです。 配信日:2008/05/07 速水健朗の『自分探しが止まらない』(2008年、ソフトバンク新書)は、自分探しという現象をめぐるあれこれを巧みに交通整理した好著だった。同書では、混乱の続くイラクで日本人が現地武装勢力の人質になった事件に言及していたが、そのことにある種の感慨を覚えた。人質となった若者たちは、まだ戦時下といえる中東の砂漠へ「自分探し」に出かけたわけだ。しかし、1980年代をふり返ってみよう