自分が学生だった頃の話だから、今からもう30年以上も前のことだろうか。 私が通っていた新宿の将棋道場で、流行っていた言葉があった。 「ヒエー山」というものである。とにかく相手に意表の手を指されてその驚きを表す言葉として、誰が言いだしたのかは知らないが、とにかくあちらこちらから聞こえてきた。 たとえば決め手と思っていた飛車取りを無視されていきなり攻め合いにこられる。 「ヒエー山」である。 相手にとって大切だと思っていた馬を切られ穴熊の金と交換の勝負手を食らう。 これもまた「ヒエー山」となる。 とにかく私が通っていた1980年頃の将棋道場は「ヒエー山」に囲まれていた。 しかもこのヒエー山の優秀なところはさらなる活用があるところだ。 ただ単に大駒を切られて驚いたのなら「ヒエー山」で済むが、少し読んでそれがどうやら決め手らしいということに気づくと「ヒエー山、、、延暦寺、、」とつぶやくことになる。驚