日本の食文化は多様です。北海道から沖縄まである細長い国ということが理由の一つといえます。旬ですら土地柄によってことなるほどです。さらに、日本人は農耕民族と同時に海洋民族であることを忘れてはなりません。 そういった日本の風土を理解する重要性は、二十一世紀への展望があるからこそです。 展望・・・それは、各民族が自己の食文化を分析し、お互いに情報を交換すること。それをもとに、温暖化などの地球環境の変化に対応するため。新たな食文化の組み立て作業にかかること。例えば、過去に食べてきた身近な自然を、異文化で洗い直し、現代の新しい視点で食べること。これが今後の課題でもあります。 主体はいのち。いのちを守るため、いのちをていねいに生きるため、人間の限界を知り、自然の法則を知り、風土とともに生きてほしいと願っています。 辰巳芳子 「慎みを食卓に~その一例~」NHK出版
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