不可解な死、強引な幕引きー調査報道が全滅した中国社会の厳しい現実 成都・学生の死、真相究明の声むなしく 筆者は今世紀初頭からの、中国のメディアやネット社会の発展を観察してきたが、ネット黎明期の2000年代、よく言われていた言葉に「圍観改変中国」というものがある。 「圍観」(圍は囲の旧字体)とは、「人々が周囲から監視すること」であり、ネットやメディアの力により、権力を監視する力が中国社会を変えていくであろうという、一党独裁体制の制限を受けつつも、市民の力がより民主的でものを言いやすい世の中を作るのではとの期待感を込めた言葉だった。 かつては調査報道が世論をリード 拙著「習近平時代のネット社会」などでも紹介したが、この「圍観改変中国」の典型的な事例として、2003年3月に広州市で起きた孫志剛事件がある。この事件は、湖北省出身の服飾デザイナー、孫志剛という男性が夜に街中を歩いていたところ、警察に