21時頃、入管側はやっとメメットさんの妻と弟だけを建物内に入れ、話し合いに応じることになった。話し合いは1時間にも及んだが、何の進展も見られることはなかった。話し合いを終えて出てきた妻は、疲れ果てて地面にへたり込んでしまった。 話し合いに応じたのは、処遇部門の2人と総務課の2人だった。話は平行線で、同行した弟が言うには「明日、内科の医者が来たら、メメットさんを診てもらう。外の病院に連れていくかはその時に判断する」の一点張りだったという。 再び支援者たちが消防署に連絡、22時10分ごろに救急車が到着した。 「どうか本人と会ってやってください!」 「病院に連れて行ってー!」 「お願いしまーす!」 支援者たちに声をかけられながら、救急隊は建物内に入っていった。「今度こそ」とその場にいた全員が固唾を飲んで見守った。メメットさんに助かってほしい。 しかし、いつまで待っても救急隊は外へ出てこない。40