東京五輪に向けて造り替えられる国立競技場。しかし新しい国立競技場案には、二つの壁が立ちはだかっている。 新国立競技場の運営費は、コンサートなど文化イベントの収入でも賄われる予定だ。このため、施設を運営する日本スポーツ振興センター(JSC)にとって、「開閉式屋根」「常設8万人収容」の2点は譲れない条件だ。 しかし、これが構造上の大きなネックとなりかねない。まずは「開閉式屋根」。 今回採用されたザハ・ハディド案は、巨大なアーチ状の構造で、開閉式屋根の開閉部は曲線を描いている。その屋根は膜状で、アコーディオンカーテンのような折りたたみ式になっている。 「このデザインのまま開閉式屋根を作るには、福岡市のドーム球場のような鉄骨造りはまず無理。あくまでデザインの通りにするなら膜式屋根にして、素材は膜材のC種だけでしょう」と、ドーム型施設の構造に詳しい専門家は指摘する。 屋根に用いられる膜材にはA種、B
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