栃ノ心の6年ぶりの平幕優勝で幕を下ろした大相撲初場所。 2013年に負った大怪我をじっくり治す決断をし、幕下55枚目という地位まで番付を落としながらも新たな相撲を構築して大輪の花を咲かせたことは、多くの観衆の心を掴んだ。 だがその優勝には、上位陣の不調という側面があったことも事実だ。 まずは横綱だ。 稀勢の里が先の優勝から精彩を欠き、白鵬も張り差しとカチ上げのない相撲の醸成に苦しみ、進退をかけて臨んだ鶴竜も終盤に4連敗と大きく崩れた。 大関に目を向けても、高安は中盤戦までに3敗を喫して優勝争いからほぼ脱落、そして豪栄道は8勝7敗。 横綱にも大関にも、絶対的な存在がいないのだ。 先の問題で日馬富士は引退し、照ノ富士は膝の不調から立ち直れず来場所を十両で迎えることになった。少し前には琴奨菊が大関から陥落している。栃ノ心の重ねた努力は、奇跡のようなタイミングで結実したわけだ。 横綱大関が減るタイ