南米ベネズエラといえば、反米主義のウゴ・チャベス元大統領、石油、野球などが思いつく程度で、あまり日本人には馴染みのない国だろう。もしかするとミスユニバースを何人も輩出する美女大国として知っている人の方が多いかもしれない。 そんなベネズエラでは、ここ数年『エル・システマ』という音楽育成プログラム発祥地として世界中の注目を浴びている。注目を浴びるきっかけとなったのは、「100年に1人の天才」「クラシック界のスーパースター」などと形容されるベネズエラ出身の指揮者、グスターボ・ドゥダメルの活躍である。20代前半にして、世界屈指のオーケストラから客演指揮者として招待され、26歳からスウェーデン国立管弦楽団エーテボリ響の主席指揮者、28歳からはロサンゼルス・フィルの音楽監督に就任し、現在まだたったの32歳である。エル・システマが生んだ天才として知られている人物だ。 エル・システマは、1975年に始まっ