特殊鋼板の製造技術を盗用されたとして、新日鉄住金が韓国の鉄鋼大手ポスコなどに約1000億円の損害賠償を求めている訴訟で、新日鉄住金側は26日、ポスコ元幹部の陳述書を東京地裁に証拠として提出した。 ポスコが組織的に機密情報を技術者から入手していたとする内容だ。ポスコ側は組織的な関与を否定しているが、裁判所の判断が注目される。 ◆「名ばかり研究所」 裁判の証拠の一つとして提出された今回の陳述書が注目されるのは、新日鉄住金が2012年4月に提訴して以来初めて、ポスコの組織的な関与を内部にいた人物が証言している点だ。 A4用紙33ページに及ぶ陳述書で組織的関与の実態を明らかにしたのは、ポスコの東京研究所(現在の日本法人・ポスコジャパン)に在籍した韓国人の元研究員。この人物はポスコの技術を中国の鉄鋼メーカーに不正流出させたとして韓国で有罪判決を受けている。陳述書では「研究所とは名ばかり。実験設備は何