「文字が読めるって、どんな感じなんですか?」 すると彼女はこう応える。 「文字はまるで奇跡ですよ」 「文字は本当にすごいんです。あれが使えると時間と場所を超越できる。200年前の情報に涙が流れることも1000年前のウワサ話で笑うこともある。そんなの信じられますか?」 「私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められている。だけど文字を読むときだけは、かつていた偉人たちが私に向かって口を開いてくれる。その一瞬、この時代から抜け出せる。文字になった思考はこの世に残ってずっと未来の誰かを動かすことだってある。そんなのまるで奇跡じゃないですか」 現在放送中のアニメ『チ。―地球の運動について―』(NHK総合)第9話「きっとそれが、何かを知るということだ」のワンシーンを眺めながら、ドラマ『宙わたる教室』(NHK総合)第1話「夜八時の青空教室」のあるシーンを思い出した。定時制高校の担任・藤竹(窪田
