新型コロナウイルス感染症はこの2年間、感染拡大と一時的な収束の「波」を繰り返してきた。厚生労働省の助言組織で感染状況の分析を続けてきた西浦博京都大教授(理論疫学)は、これまで講じてきた感染対策が今後、同じやり方では通用しない可能性も指摘する。その理由とは。【聞き手・金秀蓮】 ワクチン接種、アジアで進まず感染拡大 ――東アジアや東南アジアの流行状況について言及がありました。かつてない流行に見舞われています。各国の状況から何が学べるのでしょうか。 ◆短期的な問題ですが、香港、ベトナム、韓国、中国など日本に留学生が来やすい国・地域の流行状況がとても悪いです。 香港では、人の移動を監視するということも奏功し、これまで「1波」しか経験していません。ところが、BA・2の流行で、感染者数も正確に数えられなくなっています。報告されている死亡者は4000人を超え、BA・2がはやりだした2月以降に限っても日本