2015年のノーベル物理学賞は、東京大学の梶田隆章博士と、クイーンズ大学(カナダ)のアーサー・マクドナルド博士に輝きました。受賞テーマは「ニュートリノが質量を持つことを示したニュートリノ振動の発見」です。ニュートリノって何? 震えてるの? 自分とは関係ない話に聞こえるかもしれませんが、とんでもない。「私たちはなぜ宇宙に存在するのか」。そんな好奇心をくすぐる謎に迫るかもしれない研究なのです。 【図】ノーベル生理学医学賞 大村智氏が着目した「放線菌」とはどんな微生物? ニュートリノには「大気ニュートリノ」と「太陽ニュートリノ」にまつわる2つの謎がありましたが、それらを解明する鍵を握っていたのがニュートリノ振動でした。 ニュートリノは何者なのでしょうか? 身の回りのものをどんどん細かくしていくと、分子、原子、原子核などと進み、最終的にアップクォークとダウンクォークと電子という3つの粒に行き着きま
9月29 中枢神経系への緑茶の効果 カテゴリ:緑茶認知症 今回は緑茶に関することである。私は、コーヒーではなく緑茶をよく飲む。仕事中に毎日1本くらいの緑茶のペットボトルを飲んでいる。いろんなメーカーの緑茶のペットボトルが発売されているのだが、気に入っているのはキリンの生茶である。苦みが少ないのでこの味が気に入っているのである。ただし、カテキンやテアニンがどのくらい含まれているかは分からない。国内で発売されているペットボトルの緑茶の成分を詳細に比較したデータがほしいのだが見つからないままでいる。http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/namacya/ 苦みが少ないということはカテキンの含有量は少ないのであろうか。しかし、各メーカーによって抽出のプロセスには大きな差はないであろうし、有効成分には大差はないと思われるため、気にせずにキリンの「生茶」を
人が人を信頼する瞬間、脳の中では何が起きているのか? その仕組みの一部が脳科学により解明されつつある。信じるかどうかを判断する脳の部位、信頼を生む物質について気鋭の脳科学者が語る。 信頼と脳のメカニズムについて、最新の研究をご紹介しましょう。一般的に誰かに関する悪い評判を聞くと、その人に対する信頼度は下がります。シカゴ大学のマーガレット・ワードル博士らは、そのとき脳の尾状核が強く反応することを明らかにしました。 これは何を意味するのか。尾状核は運動系の一つで、いちいち考えなくても体がスムーズに動くように筋肉の動きなどを計算します。たとえば小魚が大きな魚に追われているときに川が二股に分かれていたとします。このとき右に逃げるべきなのか、それとも左に進むべきか。その直感的な判断を下すのが尾状核です。悪い評判を聞いたときに尾状核が反応するということから、信頼するかどうかの判断には直感が深くかかわっ
「人はなぜ眠るのか?」という研究は古くから科学者と哲学者を悩ませ続ける永遠のテーマですが、「睡眠によって脳の老廃物が洗い流される」ということが発見され、アルツハイマー病などの多くの脳疾患の治療が大きく進展する可能性が明らかになりました。 Sleep Drives Metabolite Clearance from the Adult Brain https://www.science.org/doi/abs/10.1126/science.1241224 To Sleep, Perchance to Clean | URMC Newsroom https://www.urmc.rochester.edu/news/story/to-sleep-perchance-to-clean BBC News - Sleep 'cleans' the brain of toxins http://ww
健康的な体を手に入れるためには、睡眠が必要不可欠。しかしなぜそこまで睡眠が重要なのか?このほどその謎がついに解き明かされた。 米ロチェスター大学医療センターのMaiken Nedergaard医師らがおこなった研究によれば、人間の体が睡眠を必要とする理由は、起きている間に脳内でつくられた毒素(化学物質)を脳内から取り除き、頭の中をスッキリさせるためだそう。この掃除のプロセスにはエネルギーが大量に使われるため、覚醒した状態だと思考の妨げとなるので就寝中におこなわれるとか。つまり、寝不足のときに頭がボーっとしてしまうのは、睡眠中に除去しきれなかった毒素を取り除くことにエネルギーが使われ、思考の方に回ってこないせいなのだという。なお、こういった毒素が脳に溜まったままになると、アルツハイマー病など神経系の病気の原因になるそうだ。 「なぜ眠るのか」についてはこれまでにもさまざまな議論が交わされてきた
パソコンやタブレットなどの「ディスプレイ」よりも、「本」などの「紙媒体」では脳の理解度が違うという話は聞いた事はあるが、実際はどうなのだろうか。 トッパンフォームズはこのほど、ダイレクトマーケティングのニューロ・テクニカとともにダイレクトメール(DM)に関する脳科学実験を実施し、「ディスプレイ」よりも「紙媒体」の方が情報を理解させるのに優れていることを科学的に確認した。 実験は国際医療福祉大学の中川雅文教授(医学博士)の監修のもと、人がある特定の活動をするときに脳のどの部位が関わっているのかを調べることができる近赤外光イメージング装置を使って、DMに接したときの脳の反応を測定した。その結果、同じ情報であっても反射光として脳にインプットされる「紙媒体」と透過光の「ディスプレイ」では脳は全く違う反応を示し、特に脳内の情報を理解しようとする前頭前皮質の反応は紙媒体の方が強く、ディスプレイよりも紙
[第2特集] 「覚えられない」は年齢のせいじゃない!記憶力の真実 FEATURE マガジンvol.7掲載 / 2011年12月発行 “年齢とともに低下する”と信じられていた、記憶力に意外な事実! 記憶力の低下は、実は加齢のせいではなかったのです。最新の脳科学からわかった、記憶力の真実をお伝えします! いけがや ゆうじ●1998年、東京大学で薬学博士号を取得。海馬の研究を通じて脳の健康や老化について探求。『記憶力を強くする』(講談社)、糸井重里氏との共著『海馬』(新潮文庫)など著書多数。2011年12月1日、最新作『受験脳の作り方—脳科学で考える効率的学習法—』(新潮文庫)が発売に 脳は、100年経ってもほとんど衰えないタフな臓器。 「トシだから忘れる」は大人の先入観。 人の名前を思い出せなかったり、何をしようとしていたのか忘れてしまったり。そんな経験は誰にでもあるものですが、それを「トシの
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の三島和夫部長は、秋田県で育ち、秋田大学医学部に進んだ。 秋田県は冬にどんよりした天気が続く地方で、日本で一番日照時間が短いそうだ。伝統的に過眠や睡眠リズムの異常を生じることの多い冬季うつ病が多く、秋田の大学病院時代にも多くの患者を診察していた。また直属の指導医が、有名な睡眠医学の教授だったということもあり、最初から「睡眠」をテーマにする路線に乗っていたともいえる。 そんな三島さんが、ある時、アメリカのカリフォルニア、スタンフォード大学に籍を移した時期があり、その時にカルチャーショックを受けたという。どんよりした秋田と比べると、カリフォルニアは空が青い! 「飛行機から降りたとたんに、空が青いこと!いまだかつてあんなに青い空は見たことなくてですね、冬にみんなホットパンツでジョギングとかしてますからね。本当にカルチャーショック。1年の5カ月くらいは暗
前回のエントリーで行動遺伝学を紹介したが、ちくまプリマー新書の一冊として刊行された『生きづらさはどこから来るか』は、進化心理学や行動遺伝学を中高生でもわかるように説明したとてもいい本だ。 著者の石川幹人氏は情報工学の専門家で、超心理学の研究でも知られているが、近年は進化論に基づいた新しい心理学の入門書を積極的に執筆している。そのなかでもこの本は、「なぜ生きることはこんなにつらいのか?」という問いに対して、科学的に正確に、かつ誠実にこたえようとしている。 進化と遺伝についての説明をした後、石川氏は、世界が残酷で理不尽である理由を述べる。“残酷”というのは、遺伝の影響は私たちが思っているよりも大きく、神経症や精神疾患を含む性格の半分は遺伝で、能力にいたっては8割ちかくが遺伝によって決まってしまう、ということだ。“理不尽”というのは、高度に文明化した社会では特定の能力を持つひとだけが優遇されると
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(MHI)は11月15日(木)、放射性物質の分布状況を可視化する「放射性物質見える化カメラ」のプロトタイプ機「ASTROCAM 7000」を共同開発したと発表しました。JAXA、MHIに名古屋大学を加えた開発チームが、科学技術振興機構(JST)の協力を受け、実用化に向けた開発に取り組んでいます。 ▽ JAXA|放射性物質を可視化する「放射性物質見える化カメラ」を開発 世界最先端の超広角コンプトンカメラをベースに ▽ 放射性物質を可視化する「放射性物質見える化カメラ」を開発|三菱重工 「ASTROCAM 7000」では、コンプトン散乱という現象を利用することで、放射線の飛来方向とそのエネルギー(波長)をリアルタイムで同時に測定できます。これにより、セシウム134やセシウム137、ヨウ素131など、ガンマ線を放出する放射性物質を識別。測定は20~30
大阪大学(阪大)は、脳発達の基礎をなす神経細胞(ニューロン)の生存と突起成長の研究過程において、感覚の中継部位である視床から大脳への神経投射が形成される際に、「ニューリチン」と「VGF」と呼ばれる2つのタンパク質が視床ニューロンの軸索(信号を送る突起)末端から分泌され、大脳皮質ニューロンの生存と樹状突起(信号を受けとる突起)の成長を促すことを見出したと発表した。 同成果は同大 大学院生命機能研究科細胞分子神経生物学研究グループの佐藤晴香 特任研究員(現 熊本大学発生医学研究所 研究員)、山本亘彦 教授らの研究グループによるもので、米国神経科学会誌「the Journal of Neuroscience」に掲載された。 新生児から幼児期に、個々のニューロンは軸索を伸長させて標的ニューロンと結合するが、それと同時に樹状突起と呼ばれる比較的短い突起を多数伸展させる。軸索の成長が標的ニューロンから
広島県内で、原爆で被爆した人から生まれた「被爆2世」について、両親とも被爆した人は、どちらかだけが被爆した人と比べて白血病になる割合が高かったことが、広島大学の研究グループによる調査で初めて確認されました。 この研究結果は、およそ12万人の広島県内の被爆2世について広島大学の研究グループが病院の診断記録などから調査し、3日、長崎市で開かれた研究会で発表しました。 それによりますと、被爆後10年以内に生まれたおよそ6万3000人のうち両親とも被爆していた人は1万4000人余りと4分の1以下だったのに対し、この中で35歳までに白血病になった49人のうち、両親が被爆した人は26人と半数を超えていました。 父親か母親だけが被爆した人と比べ、明らかに高い割合で白血病を発症していることが初めて確認されたということです。 被爆の遺伝的影響は、日米共同の放射線影響研究所などが終戦直後から行ってきた調査では
記憶が特定の脳神経細胞のネットワークに存在することを証明 ―自然科学で心を研究、心は物質の変化に基づいている― ポイント 記憶痕跡に関連する脳神経細胞のネットワークを光遺伝子で標識 マウスの脳神経細胞を光で刺激して、記憶の呼び起こしに成功 神経系変性疾患や精神神経疾患のメカニズム解明に貢献 要旨 独立行政法人理化学研究所(RIKEN)の脳科学総合研究センターと協力関係にある、マサチューセッツ工科大学の「RIKEN-MIT神経回路遺伝学センター」の利根川進教授の研究室は、マウスの脳の特定の神経細胞を光で刺激して、特定の記憶を呼び起こさせることに成功し、脳の物理的な機構の中に記憶が存在することを初めて実証しました。 私達の懐かしい思い出や恐ろしい記憶は、時間や場所、またはその経験を含むあらゆる感覚とともに、完全に呼び起こすことができる“記憶の痕跡”として脳に残されます。神経科学者たちはこれをエ
理化学研究所(理研)は3月23日、マウスの脳の特定の神経細胞を光で刺激して、特定の記憶を呼び起こさせることに成功し、脳の物理的な機構の中に記憶が存在することを実証した。 成果は、理研脳科学総合研究センターと協力関係にある、マサチューセッツ工科大学(MIT)の「RIKEN-MIT神経回路遺伝学センター」の利根川進教授らによるもの。詳細な研究内容は、日本時間3月23日付けで英科学誌「Nature」に掲載された。 私たちの懐かしい思い出や恐ろしい記憶、例えばファーストキスや夜間の衝突事故などは、時間や場所あるいはそのような経験を含むあらゆる感覚と共に、過ぎた昔の思い出を完全に呼びもどすことのできる"記憶の痕跡"として脳に残される。神経科学者たちは、それを「エングラム」と呼ぶ。しかし、エングラムとは概念にすぎないのか、あるいは脳内の物理ネットワークなのかがわかっていなかったのである。 1900年代
毛の成長が止まり、生え替わるまでの準備期間(休止期)を保つ遺伝子を産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の研究チームがマウスを使った実験で発見した。 この遺伝子を抑えると、毛の成長が早まることも確認した。人間にも同じ仕組みがあると見られ、脱毛症治療などへの応用が期待される。 毛は、元になる毛包幹細胞が増える成長期、成長が止まる退行期、休止期の3段階を繰り返し、量を維持する。研究チームは、休止期に存在し、働きの分からなかったたんぱく質「FGF18」に注目。このたんぱく質の遺伝子を持たないようなマウスを作ると、このマウスの休止期は本来3週間以上続くところが1週間に短縮。毛が生え替わるサイクルも通常の半分の3~4週間になった。
東大など、数十年来の脳の謎を解明 - 脳回路が精密な配線であることを発見 マイナビニュース 1月20日(金)19時10分配信 科学技術振興機構(JST)と東京大学は1月20日、脳の神経回路が、回路を形成する神経細胞「ニューロン」(画像1)より小さく、「シナプス」の単位で正確に編まれることで機能を発揮することを明らかにしたと発表した。東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二准教授らの研究グループによる発見で、成果は米科学誌「Science」に米国東部時間1月20日に掲載された。 【拡大画像や他の画像】 脳はニューロンと呼ばれる神経細胞からなり、各々のニューロンが、少しずつ情報を処理している。その処理結果は、ニューロン間の特殊な結合であるシナプスを介して、次のニューロンに伝えられる(画像1)。 ニューロンには多くの樹状突起と呼ばれる枝分かれした線維があり、ここにあるシナプスは、樹状突起の先端
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