大きな胸はどう呼ばれてきたか(下)――グラマーのグラマーによるグラマーのための新しい言葉の時代へ アダルトメディア研究家・安田理央さんによる「大きな胸」をテーマにした連載、最終回の三回目です。今回は「巨乳」という言葉の誕生、巨乳グラビアアイドルの活躍による「巨乳」のお茶の間への浸透。そして、「巨乳」以降の「胸の大きな女性」を指す言葉についての考察です。 巨乳の誕生 元号が昭和から平成へと変わった1989年に一人のAV女優がデビューしました。 当時、女子大生だった19歳の松坂季実子です。 彼女のセールスポイントは、その大きな乳房でした。公称110.7センチ(これは「イイオンナ」の語呂合わせで、実際は90センチ台だったとの説もあります)。まるでメロンを二つぶらさげたようなその胸は、それまでの「Dカップ女優」のレベルを遥かに超えたものでした。週刊誌でも大きく取り上げられるなど、松坂季実子は一躍人