蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第12回を「ちくま」3月号より転載します。同世代の大作家との意外な類似点をあげて、反響の大きかった第10回の余波について。 何しろこれは隔月連載なので、前々回といってもすでに数ヶ月前のことになってしまうが、珈琲とそれに加えるべき砂糖の量の過多をめぐるこの老齢者の記述があちらこちらで話題になり、いささか恥ずかしい思いを抱かされた。『この世には、どうやら珈琲にたっぷりと砂糖を入れねば気のすまぬ世代というものが存在しているようだ』というのがその文章の題名だったが、「存在している」ではなく「ようだ」と断言を避けているところが味噌といえば味噌だといえる。 とはいえ、お他人さま一般というものには信頼などおいていない人間なので、それが現実の事態として機能しているとは到底思いかねるあの「承認欲求」とやらが充たされたというわけでは勿論なく、世の中には暇なお方が不特定多
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