多くの注目舞台に、この人がいる。橋本淳さん。第一線で活躍する劇作家や演出家から高く評価され、出演作が名のある演劇賞を受賞したことも一度や二度ではない。そんな橋本さんが、気鋭の加藤拓也さんが手がける舞台「いつぞやは」に出演する。緻密な会話劇によって活躍目覚ましい劇作家の最新作。橋本さんは「お客様に演劇であることを忘れさせるほど、リアルに板の上で生きられるかが大切になる」と語る。 加藤さんの舞台作品に出演するのは、「在庫に限りはありますが」(2019年)、「たむらさん」(20年)、「もはやしずか」(22年)に次いで4作目。36歳の橋本さんに対する29歳の加藤さんの信頼の厚さがうかがえる。「登場人物の本心は隠され、役者は気持ちの整理がつかない状態でせりふをしゃべります。白黒が定まらない感情のグラデーションをいかにつけるのか、その作業が面白い」と加藤作品の魅力の一端を明かす。