警視庁公安部で国際テロ対策を担当する捜査員や協力者の個人情報などがインターネット上に流出し、第三書館(東京都新宿区)が流出した資料をそのまま掲載した本を出版した問題で、東京地裁(田代雅彦裁判長)は29日、個人情報が掲載された国内在住のイスラム教徒ら数人の申し立てに基づき、同社に出版や販売の差し止めを命じる仮処分決定をした。 申立人側の代理人弁護士が同日、明らかにした。 書籍の出版・販売の差し止めは、「表現の自由」と「検閲の禁止」を定めた憲法に抵触する恐れがあるため、認められるケースは少ない。代理人の弁護士は「本の内容が申立人のプライバシーを侵害し、名誉を毀損(きそん)しているのは明らかで、裁判所は緊急に出版を禁じる必要があると判断したのだろう」としている。