1968年の死後はリードは急速に忘れ去られた。これはおそらく、マルクス主義をふくめて芸術の社会理論がアカデミズムに広まったためと思われる。それでもリードの著作は読まれ続けており、1990年代に入ると、1993年にリーズ市立アート・ギャラリーで彼の回顧展が開かれたのをきっかけに再び注目を集めている。著作の再刊も現れ始め、2004年6月にはテート・ブリテンでハーバート・リードについてのカンファレンスが開かれた。 芸術による教育 1943年刊行。執筆に2年をかけた大作。芸術を基礎とするラディカルな教育システムを構想している。芸術教育に対して多角的に分析、再定義するため、生物学、心理学、生理学、社会学、哲学といった様々な分野の研究が引用されているのが特徴。よって本書は、壮大な論理展開と魅力が内包されたものとなっている一方、著者の主張を総括しその全体像を把握することは非常に困難であるとされている。文