金澤:創業後、調剤薬局事業から介護事業へと展開されましたが、事業モデルが異なる中で苦労はありましたか? 渡部:介護事業に挑戦したきっかけは、「調剤業界が未来永劫続くわけではない」という危機感からでした。医療と似ているように見える介護事業ですが、実際にはビジネスモデルや商習慣、働く人々の意識が全く異なることを痛感しました。調剤薬局ではカウンター越しに患者へ薬を手渡し説明するスタイルが主流でしたが、介護施設や在宅医療では、患者の衣食住、さらには終末期のケアまで包括的に支援することが求められます。こうした患者の生活全体を知ることで、人の生き方や死に方に深く関わる医療の本質を再発見しました。 しかし、当時の私は薬学しか学んでおらず、父から学んだ経営知識だけでは限界があることを感じていました。そこで、体系的に経営を学ぶためグロービス経営大学院の門を叩きました。現状を分析する力やイノベーションを起こす