日立製作所と三菱重工業の経営統合は、日本経済新聞のフライング報道によって両社が否定する事態となった。はたしてこの件、今後どう推移するのか。大前研一氏が解説する。 * * * すでに三菱重工と日立は水力発電部門など複数の事業で統合・協力関係にある。しかも両社が統合すると、原子炉分野は三菱重工のPWR(加圧水型原子炉)と日立のBWR(沸騰水型原子炉)の両技術を持ったオールマイティになる。 さらに、三菱は仏アレバと、日立は米GE(ゼネラル・エレクトリック)と提携しているので、世界の原発市場は三菱重工・アレバ&日立・GE連合と東芝・WH(ウェスチングハウス)の2社寡占状態となる。 原発分野だけでも大きなメリットを享受できるので、この経営統合交渉は今回の騒動で一服しても破談とはならず、事業統合話の過程で、再び前に進む可能性が意外に高いと私はみている。 そもそも日立と三菱重工の統合話は遅すぎたくらいだ