東京電力福島第一原発事故から1年半が過ぎる中、県内を訪れる観光客数は依然として低迷している。事故前と比べて半減したままの施設もあり、県観光交流課は「回復のペースが鈍り、先が見えない」と危機感を募らせている。(傍田光路) 県内外から多くの観光客が訪れるいわき市の海洋科学館「アクアマリンふくしま」では、8月の観光客数が9万9980人で、20万2989人が訪れた震災前の2010年8月と比べ、49%にとどまった。原発事故後の11年8月の4万9743人に比べると2倍に伸びたが、担当者は「特に県外のお客さんが少ない。原発事故による風評被害が今も影響している」と肩を落とす。 福島第一原発から約30キロ・メートルの位置にあり、鍾乳洞が約600メートルにわたって続く田村市の「あぶくま洞」も、12年8月の観光客数は4万8038人で、10年8月の10万3843人と比べて46%にとどまった。管理事務所の吉田信哉さ