「南海トラフの巨大地震で最大32万人が死亡する」。内閣府が公表した新被害想定には驚かされた。人災と違って自然災害は発生を防ぎづらいだけに厳しい現実を突き付けられた格好だが、事前に察知できれば、被害は最小限に抑えられる。今回の新想定を受けて、国も予知研究に本格参入を検討しだした。前兆をとらえる研究の最前線は-。 関東以西の30都府県で最大32万3000人。内閣府が発表した南海トラフ巨大地震の死者数はケタはずれの規模だった。 冬の深夜という最悪のケースで試算したもので、「発生確率は極めて低い」(内閣府)とされるが、東日本大震災を経験したいまとなっては、非現実的とは一切笑えない。ひと度、起きれば静岡に2分で津波が押し寄せ、避難する間もなく飲み込まれてしまう。 新想定が発表された29日の会見では、被害を最小限に食い止めるため中川正春・防災担当相自ら「ぜひ『予知』に挑戦してほしい」と専門家には